主任司祭 西川 哲彌(にしかわ てつや)

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南アフリカでコロナの新型株が発症したという報道があって間も無く、アフリカから帰国した日本人が感染しているというニュースに変わり、一ヶ月もしないうちに、アメリカ合衆国で、引き続き、ヨーロッパの幾つかの国で感染者が出たということで、なんだか目が回りそうです。

アメリカ政府の医療諮問委員会の主要メンバーである医師は、「空気感染」という言葉を使って、人から人への伝染を上回る感染もありうると言って世界中を震撼とさせたりしています。もう、水際で感染を阻止するより、私たち一人一人が、感染の媒体にならないように注意するしか道がないのかと思えるような状態になりつつあります。

つまり、「ウイルスをもらわない、うつさない」ための細心の注意を払うこと、初心に返って、ウイルスに入る隙を与えない生活習慣を取り戻すしか方法がないということでしょうか。

スーパーや食堂に入っても、病院や役所にいっても、検温や手の消毒は当たり前になっているし、バスや電車は、寒いくらいに換気がなされています。教会は、まるで「歌を忘れたカナリア」のようにさせられ、聖歌が消えています。

かろうじて、フィリピン共同体の方が、信徒会館の玄関横に、控えめにクリスマスツリーを立ててくださり、聖堂には、これも控えめに馬小屋を作ってくださいました。一応、形だけは、クリスマスを迎える感じになっていますが、例年からすると、寂しい限りです。

教会委員会で、クリスマスのことが議題に上がりました。御降誕ミサのことです。ミサの回数は、昨年と、ほぼ変わりません。問題は聖歌です。まさか、聖歌のないクリスマスなんて、とても考えられません。聖歌隊が、二階から、一人か二人で歌うのなら許されるということなので、頼んでみたらどうかという意見もありました。結局、ミサの始めと最後に一曲ずつ歌うということで落ち着きました。あれもこれも、コロナの感染予防を前提とした話です。

教区本部も、クリスマスで、緊張感が薄まって、クラスター(集団感染)発生を警戒しています。自主性を重んじてはいますが、警戒心を忘れないでくださいという注意を受けています。考えてみると、教会ほど、感染しやすいところはないでしょう。長いベンチに肩をくっつけるように座り、礼拝の始まりから終わりまで、祈りの言葉を声を出して唱え、祈りと祈りの間に大きな声で聖歌を歌います。聖歌隊の方も歌いますが、その何倍もの信徒が歌うわけですから、ウイルスにとってこれ以上、いいチャンスはありません。そのことから聖歌を大きな声で歌うことが、禁止事項に入れられました。

コロナが感染を始めた頃、韓国の大きな教会でクラスターが発生し、百人以上の信徒が入院したというニュースを読みました。同じ頃、北イタリアの教会で、同じようなクラスターがいくつも発生したというニュースが届きました。

東京オリンピックが終わって、徐々に感染者数が減ってきて、先月から今月あたり、びっくりするほど、少なくなりました。このまま終息するとは誰も思っていなかった状態で、新種株の菌が出てきたので、やはり第6次の感染がありうるような感じになっているようです。

最初にも申し上げましたが、私たちも、慣れてきていて、「うつさない、うつされない」の構えを崩していません。先週のミサの後、体温の話をしているのが耳に入りました。「私は、毎日、体温を測っております」という方がいて、家族の方々にもそうさせているとのことでした。そこまではしていないけど、ちょっと気になったら検温しているという方がほとんどでした。実は、私も、疲れて、なんとなく熱っぽいと思ったら、必ず、体温計を使います。そして安心します。昨年来(正確には一昨年来)コロナの脅威にさらされて、その怖さと周りへの影響の大きさを知らされていますから、手を抜くことはありません。

外国では、マスクなしで自由に外出し、会合に参加しているところもあるようですが、少なくとも、日本では考えられません。私も、時々、マスクを忘れて、商店街に出ることがありますが、なんとなく冷たい視線を感じて、走るように教会に帰り、マスクをして出直します。

先週ラジオを聞いていたら、日本人の体質に、コロナのウイルスを体内に入れさせない抗体があると言っていました。今回、新種のコロナ株が、日本でさほど罹患しないし、これまで猛威をふるっていたコロナが、収束してゆくような状態にあるのも、それが有効に働いているからではないかと言っているということなのです。それを言っているのが実験を重ねている理化学研究所だと聞いて、私も「本当かな」「あるかもしれない」と思ったのです。

短期大学に入った途端にコロナが始まって、一度も、教室で授業らしい授業を受けずに卒業する学生がいると聞いて驚きました。自宅かアパートで、パソコンの画面を通して講義を受けただけの学問。どういう結果が出るかが楽しみです。

西川神父絵