主任司祭 西川 哲彌(にしかわ てつや)

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郵便ポストが近くにあるのでとても便利と、先々週の「短信」で書きましたが、実は、とても便利なものが、反対側にあるのです。つまり、教会の門を左に行くと郵便ポスト、右に行くと、同じくらいの距離にコンビニがあるのです。とはいえ、コンビニで買うもののほとんどは新聞です。大手の新聞にスポーツ新聞など10種類以上の新聞がごちゃごちゃと差し込むような感じで、レジ横の売り場に置いてあります。

私は、毎日新聞をとっていますが、記事によっては、他社はどう報じているのかを知りたくなることがあり、コンビニに走るわけです。東京、産経、読売等を買ってきて、一つのことをどう書いているかを、わりとじっくり読み比べます。

24日に報じられた、袴田さんの審理差し戻しの事は、さほどの大差はないのですが、東京新聞の社説に、思わず「そうだ、その通り」と叫んでしまいました。社説は、ある面で、その社の基本姿勢や社名にかかわるようなことなので、きちんとした主張が打ち出されています。その日の論説のタイトルは、ズバリ「早く無罪を言い渡せ」でした。だから「そうだその通り」と言ったのです。

袴田事件のことは、清瀬教会の自主活動グループとして「無実の死刑囚袴田巌さんを救う会」があって、数人の方が中心になって袴田さんの冤罪を晴らすために活動をしてらっしゃるので、清瀬教会の方なら誰でも、また、多くの方々に知られています。聖堂を使った講演会に、私も参加したことがあります。

今回、大きく報じられたのは、最高裁が、裁判のやり直しを認めなかった東京高裁決定を取り消して、審理をやり直せと命じた(22日付)からです。つまり、再審開始の道が開かれる可能性が出てきたということなのです。新聞によると、5人の判事のうち二人は、重要な証拠とされる五点の衣類についても的確性に大きな疑問を持っていて、再審を要求する根拠にしていると書いてありました。それにしても、半世紀以上も前の強盗殺人事件で、死刑の判決が覆されるということになれば、どこか、タガが緩んでいるような印象を与えている司法界にとっても朗報になるような気がします。

改めて、袴田事件弁護団と袴田さんの支援クラブが出した、袴田さんの上告趣意書(抜粋)を読んでみると、袴田さんに事件に至る動機がないことが頷けます。それに、アリバイもしっかりしています。あるのは、初動捜査の甘さと、警察側のメンツのようなものかもしれません。東京新聞の社説にもあるように、「もともと袴田さんが、犯人かどうか、極めて疑わしい事件だったといわざるをえない」のです。それを、「1日12時間、最長では17時間にも及ぶ取り調べで認めさせようとした」のです。でも、してないことはしてないと、袴田さんは一貫して否定し通したのです。

東京新聞の社説は、「袴田さんはもう84歳である。人生の大半を殺人犯の濡れ衣を着て送ったに等しい。これほどの人権侵害はあるまい。正義を言うなら最高裁自ら『再審開始』」を決めるべきであった」と主張します。「そのとおり」と、私も思います。繰り返すようですが、最高裁が、高裁に、再審を認めぬ決定を取り消し、審理取り消しを命じたのです。ボールは高等裁判所に投げ返されました。高裁は、袴田さんにも、袴田さんを支援する人々にも、納得できるような返球をしなければなりません。

大げさに言う訳ではありませんが、私達が習った民主主義は、司法、立法、行政の三本の柱に支えられ、お互いがその役割と実行を尊重し、バランスを保つ努力の上に成り立ってゆくものです。その三権に上下優劣が生じるなら民主主義はその根底から崩れ去って、人類が経験した最悪の政治状況をまたもや繰り返すことになってしまうのです。

それから、まるで、余韻もうち消すかのように、新聞は、袴田さんのことを書きません。だからこそ、東京新聞が社説で「早く無罪をいい渡せ」と言い放ったことが光るのです。社説子の勇気に、思わず拍手を送りました。いつも思っていることをそのまま言ってくれたという感じだったからです。

私は、毎朝、定期購読している毎日新聞を、隅から隅まで目を通します。そして、気になる記事をしっかり読み、内容によっては、コンビニに走って、他社の新聞を買ってきます。そして比較しながら、しっかりと読みます。これが、自転車に乗って買いに行くとなると考えてしまいますが、歩いて4〜5分のところに店があるので助かります。なんて言ったって、私にとってニュースソースのナンバーワンは新聞とラジオですから。

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